X10から、プレビューウインドウの左下に「16:9」や「9:16」を選択できるコンテキストメニューが登場しました。取り扱い説明書にも載っていないので戸惑いますが、これらは「プロジェクトのプロパティー」へのショートカットであり、既存の機能をより簡便に扱うためのものです。
扱いに慣れている人は「設定→プロジェクトのプロパティ」で思い通りに設定するので、あくまでもエントリー向けの機能と考えておきましょう。実際、16:9の設定は編集解像度が1280×720になるので、今時の商業制作には不向きだったりします。
【16:9の設定】
MPEG-4 ファイル
24 ビット, 1280 x 720, 29.97 fps
フレームベース
H.264 メインプロファイル ビデオ: 5000 Kbps, 16:9
44100 Hz, 16 ビット, ステレオ
MPEG AAC オーディオ: 128 Kbps
1280×720ということでHD動画の設定です。普段フルHD(1920×1080)で制作している人は注意が必要です。
【9:16の設定】
MPEG-4 ファイル
24 ビット, 1080 x 1920, 30 fps
フレームベース
H.264 ハイプロファイルビデオ: 5000 Kbps, 9:16
48000 Hz, 16 ビット, ステレオ
MPEG AAC オーディオ: 256 Kbps
縦のフルHD動画です。これは主にデジタルサイネージ用の設定です。但し、実際のデジタルサイネージ機器は1920×1080の動画をそのまま表示するタイプが多いです(ウチはサイネージ用の動画を制作していますが、この規格で出力することは殆どありません)。この設定は主にWindows等のOSで制御されたデジタルサイネージ用です。
尚、今回のX10からMPEG4の出力に縦型(1080×1920)が追加されています。フルHD画面の縦型です。使う場面は限られますが、変換ソフトを使わずに縦型が出力できるのは便利ですね。
【4:3の設定】
この設定は2017年9月10日現在、有効になっていない様子です(おそらくバグ)。コンテキストメニューを選択してもプロファイルの変更が確認できませんでした。
4:3の比率で制作したい場合は「設定→プロジェクトのプロパティ」から適切な設定を選ぶか、プロパティを新規作成する必要があります。
【2:1の設定】
MPEG-4 ファイル
24 ビット, 2560 x 1280, 29.97 fps
フレームベース
H.264 ハイプロファイルビデオ: 15000 Kbps, 2:1
44100 Hz, 16 ビット, ステレオ
MPEG AAC オーディオ: 128 Kbps
正方形を2つ並べた比率、2:1のプロファイルに設定されます。この設定はスコープ・サイズ(シネスコ/シネマスコープ)と呼ばれ、主に映画で使われます。
機能の趣旨はよく理解できるのですが、現時点では4:3の設定にバグがあったり、16:9が今時潰しの効きにくいHD解像度であったりと、やや抜けている印象がありますね。
この仕様であれば、プリセット登録枠を増やした方が便利かもしれません。あと、MPEG4出力のサイズ設定が有効になる日はあるんでしょうか。ここまでやるならエンコーダーの方もお願いしますよCorelさん(現状プリセット以外に出力の選択肢が無い)。
で、X10の全体的なレビューですが、ウチはそもそも商業動画の制作にこのソフトを使っています。駄目なソフトならそもそも使いませんし、こんなブログも運営してません。今の所、X10で致命的なバグには遭遇していないので、VideoStuidoX10は個人または商業動画制作のエントリー向けツールとしてお勧めできます。
今後もX10の機能については、注目点を紹介していきます。