地図上の矢印や動線が経路順に出てくるアニメです。商業制作でお馴染みの表現ですが、VideoStudioではペインティングクリエーターから専用の動画マスク(ビデオマスク)を作成すると作れます。手数は多いですが、慣れると5分程度で作れます。
別記事で「フローリッシュアニメ」の作り方を紹介していますが、作り方は同じです。白黒の動画マスク(ビデオマスク)を作り、PNGの透過画像に適用してアニメにします。
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事前に画像を準備します。作例は1920x1080pixの透過PNGです。完成デザインを作り、この作例では3点の画像に分けて出力しています。今回の記事で使った画像は下記からダウンロードできます。
→サンプル画像
動画のプロパティはフルHD(1920×1080)サイズです。動線の画像を編集画面上のトラックに読み込みます。プレビュー画面上の画像を右クリックして「元のサイズ」を選択。
注意点として、ビデオマスクの尺は後から変更できないため、アニメーションの長さは最初に決める必要があります。今回は2秒のアニメにするので、クリップの長さを2秒に設定。
クリップにFX「ビデオ調整」を適用します。目的はクリップを「白黒化」するためです。
FXを適用したクリップを選択して、オプション→フィルターのカスタマイズ。
最初と最後のフレームをそれぞれ「明度:+100」に変更します。
これで画像が真っ白になりました。
クリップがプレビュー画面に見えている状態で、画面右上のツール→ペインティングクリエーターを選びます。
筆は一番左の「ペイントブラシ」を使います。アイコンの右下にある歯車のマークをクリックすると詳細設定が開きます。
ここで、ソフトエッジをやや下げると、筆のぼかしが小さくなり、作業がやりやすくなります。
ウインドウ左上のスライドバーを調節して、筆のサイズを設定します。筆は縦もしくは横の棒型(線型)にすると、作業に便利です。
筆の角度も調整できます。マスク掛けの作業に時間制限は無いので、一手ずつ筆の角度を調整して丁寧に作業すると、結局時間の節約になります。
準備ができたら記録開始をクリックして、白色の画像を塗りつぶしていきます。
注意点として、アニメで表示されるであろう順序と『逆』に画像を塗りつぶします。
筆の軌跡(ストローク)が記録されます。無駄な手数も記録されるので、一筆書きの要領で無駄なく消していきます。
塗り潰す形状に合わせて、筆の角度調整するとミスが少なくなります。間違えた場合は「Ctrl+Z」で一手戻れます。
描く時間は記録されません。ゆっくり丁寧に、無駄の無いストロークで作業します。その結果、真っ黒に塗りつぶせればOKです。
記録停止を押すと、ウインドウの右下にサムネイルが生成されます。
サムネイルを右クリックしてアニメーションの時間を10秒程度にします。予め長いアニメーションを作れば、品質を保ったまま短くできますが、短いアニメーションを長い尺に引き伸ばした場合、コマ不足で動きがカクカクになってしまいます。
サムネイルを選択してOKを押すとアニメが出力されます。尚、出力したアニメファイルはマイドキュメントのCorel Video Studio Proフォルダに出力されます。
メディアファイルの欄にアニメのサムネイルが作成されました。
生成されたアニメをトラックに入れます。
クリップの右端をShiftキーを押しながら左側にドラッグして、尺を調整。白黒の画像クリップと尺を合わせます。
プレビュー再生。この時点では白い筆の跡が残っています。これを消す必要があります。
アニメのクリップを選択してオプション→編集→色補正。
明度・コントラスト・ガンマの値を「-100」に変更します。
これでアニメが真っ黒になり、白い筆跡が消えました。プレビュー画面を拡大して、綺麗に塗りつぶせているか確認しておきましょう。
アニメクリップを選択した状態で、オプション→編集→ビデオを逆再生にチェックを入れます。
これで再生順も整い、ビデオマスクが完成しました。
ビデオマスクを1920×1080のMP4形式で出力します。
出力した動画をプレーヤーで再生した様子。2秒間のフルHDの動画です。
新しいプロジェクトファイルを作成して、背景となる日本地図等を配置します。背景より下のトラックに、動線画像を配置してサイズを調整(元のサイズ)。動線画像の尺は2秒です。
画像をコピーして、アニメーション後の静止画を配置します。
アニメを適用する動線画像クリップを選択して、オプション→属性→マスク&クロマキーを選択
続いてオーバーレイオプションを適用にチェックを入れて、ビデオマスクを開きます。
サムネイルウインドウの右側にある「+」ボタンを押してビデオマスクを読み込みます。
アニメーションが適用されました。
残りのパーツを適当に配置します。これで完成です。
これらのテクニックを扱える人はマニアを名乗ってもいいと思います。かなり応用の効くテクニックなので、商業制作でビデオスタジオを扱っている方はお試しください。