文章やパンフレットを解説する動画の場合、蛍光ペンのように、文字色を濁らせることなく背景色を付けたい時があります。VideoStuidoでは、画像の乗算合成で対応します。カラークリップではなく、別途用意したビットマップ画像を使うのがポイントです。
別途用意した単色の画像を文字・文章トラックの上にかぶせます。この時通常の透過ではなく、乗算で合成する必要があります。
左が乗算、右が通常の透過の例です。通常の透過では文字色をマーカー色が侵食しています。左の乗算合成では、被せる画像より濃い色はそのまま残るので、文章のマーカーに適しています。
注意1。VideoStuio内のカラークリップではこの手法は使えません。乗算合成のメニューが出てきません。
準備した単色画像です。どのグラフィックスソフトでも作成できますが、下記からダウンロードできます。
→1920×1080単色画像(黄)
文章画像の手前(下のトラック)に画像を配置します。
画像を選択して オプション→マスク&クロマキー
オーバーレイオプション→乗算 を選択
標準では透明度が50%になっています。濃度はスライドバーで任意に変更します。
注意2。この方法ではシンプルな長方形のみ扱えます。複数箇所のマーキングや改行を追うことはできません。
注意3。この方法では縮小できるサイズに限度があります。作例の場合、上記画像より上下の幅を狭めることはできません。表示する文章のサイズにもよりますが、1行単位でマーキングしたい場合等は不便です。
注意4。「高度なモーション」は使用出来ません。
高度なモーションにすると乗算がうまく合成できず、黄色いマーカーの範囲外が暗くなってしまいました。
アニメーションを付けたい場合は、選択→オプションの基本モーションの欄で動きを付けるか、トランジションを適用します。
マーカー画像と透明なクリップをトランジションでつなげると、マーカーのアニメーションになります。
カラークリップをトラックに配置して、プレビューウインドウで画面外に移動すると透明なクリップになります。
クリップの最初と最後にトランジションを適用しました。作例では「サイド」を使っています。
なお、クリップの両端に直接トランジションを適用できます。こちらの方がシンプルで分かりやすいですね。
次です。改行や複数箇所など精密なマーカーを作る場合は、専用の画像を作ります。
作例では背景に動く文章画像を使います。途中で一時停止するので、停止中にマーカーの効果を入れてみます。
文章画像が一時停止する範囲をチャプターポイントでマーク。この範囲にマーカー画像を配置します。
一時停止の場面にインジケーターを合わせて、編集→静止画として保存。
右側のウインドウにキャプチャ画像のサムネイルが生成されますので、右クリックしてファイルの場所を開きます。
キャプチャ画像は作業用のフォルダーに移動・保存しておきましょう。画像を確保したらフォルダは閉じてもよいです。
<キャプチャ画像を別途保存する理由>
VideoStuidoのバージョンを変更した場合、これらのファイルは急バージョンのフォルダに残されます。案件個別のフォルダーに移動しておかないと、数年後に紛失して困ることになります。
キャプチャ画像を参照しながら、グラフィックスソフトでマーカー画像を作ります。作例ではCorelDrawを使っています。
注意5。出力時は背景を透明ではなく「白色」にします。透明で出力すると、乗算合成が上手くいきません。
マーカー画像をトラックに配置して、マスク&クロマキー→乗算。
先程と同じように、トランジションをクリップの両端(最初と最後)に適用します。
トランジションの長さは任意で変更できます。
マーカー画像を別途作成するのは手間ですが、キャプチャの手際になれると数分で作成できるようになります。プレゼンや解説系の動画が分かりやすくなるテクニックです。
マーカー用画像を作成する場合は、背景色を透明にしないように注意しましょう。筆者はこれを忘れて合成時に混乱した経験が何度か。